ブリットポップパート2、The Enemy



かつて、英国中部コベントリーは、自動車産業で栄えた産業都市だった。昨今の国際化の波に呑まれ、人件費の高騰を理由に、多くの自動車会社が、旧共産圏にその工場を移転している昨今。この街は、深刻な貧困に喘いでいる。そんな、街から、The Enemyは生まれ、そして、生活をして来た。彼らの、曲、“Away From Here"“It's not OK”は、そんな、9時から、5時ライフスタイルを否定した、歌詞から始まる。そして、将来の不安の為に、労働と言う時間の奴隷になり、結局は、その将来さへ、簡単に失ってしまうと言う、強烈な風刺の効いた歌詞だ。それは、コベントリーが今抱えている問題をストレートに表現した物に、違いない。

リードボーカル、トム・クラークは、彼等の詞について、こう語る。“彼等の生まれ育った環境に影響されないソングライターなんて、認めないね。僕は、僕が一緒に育って来た物や、見て来た世界を書くのさ”それは、一種の、今の音楽業界のグローバル化に反している。結局、今の英国のバンドは、この地域労働者に向けたスタンスで、デビューする所謂、ターゲットを絞った形で売り出す手法が頻繁に行われている。80年代の世界征服とか言う、普遍的なロックは、今は、ダサいとされているのだ。(笑)これが、少年期にオアシスを聞いて育った世代の、新しい彼らなりのオアシスの捉え方であり、プロモーターの売り方なのだ。