格差社会のフットボール


英国フットボール界も、格差社会になりつつある。それに、警鐘を鳴らす、二部リーグ(旧Div3)バーネットFCのオーナー。一見、華やかな英国フットボール界。しかし、その裾野は、ボロボロで、今にもその土台は壊れそうなのである。以下は、テレグラフの記事を訳したものである。

byTony Kleanthous


私は、バーネットフットボールクラブを1994年の12月に購入した。私は、28歳で、当時は、最年少のフットボールクラブのオーナーだった。私は、幸運な人間だと思ったんだ。事業で尽く、成功していた。そして、私の会社は、Rymanまで買収出来る程にまで成長したんだ。そして、新しい事業を展開したいと言う欲望が生まれた。フットボールクラブを運営することは、私の新しい事業には、最適だと考えた。


バーネットFCは、その数年前に、フットボールリーグに昇格していた。その後、経営不振から、管理下に置かれ、彼らの全ての選手は、自由に移籍できると言われた(それは、決して、今まで、他のリーグクラブでは起こりえない何かだった)後、一種の分岐点に差し掛かっていた。


その時期、バーネット以上に、大きなクラブが、少ない労力とお金で手に入っていた。しかし、バーネットの悲惨な状況を目の前にした時。私が何とかしてやりと思ってしまった。この弱小クラブに変革を与えることに、楽しみを見出したんだ。しかし、今思えば、それは、愚かなことだった。フットボール界の状況の急激な変化を読み取ることに失敗していたのだから。



私は、純粋にフットボールを娯楽として愛している。しかし、劇的に変化した、この13年間のフットボールビジネスを経験した後、私は、この娯楽の未来について、幾つかの懸念を持つようになった。間違いないでほしい。今のプレミアリーグクラブは、フットボールを前提に運営されている。しかし、私は、まだ、彼らのフットボール全体への取り組みを見る必要があるように思えるのだ。弱小クラブは、英国フットボール界のピラミッドの頂点(プレミアリーグ)を下から支える為のみに存在し、軽視的に扱われていることは疑いない。


それは、ごく最近のことだ。オールドハムとノッツ・カウンティーが、旧1部リーグに属していたのは。そして、決してその試合が勝利にならなくても、素晴らしい贈り物のような土曜は、過去の結末だ。残念だが、私は、これ以上、上の層について言えるとは思えない。


私の考えでは、プレミアリーグは、英国フットボール界の癌みたいな存在だよ。札束をチラつかせて、残りのフットボール界から、彼らだけを切り離すごとく、静かに、このスポーツの純粋な物を蝕んで、転移を繰り返していく。


本当に、私達は、4強だけが優勝争いを繰り広げる、今の状況を楽しんでいるのか?本当に、私達は、プレミアリーグに残るだけで、そのチームが素晴らしいシーズンを終えたと、判断してよいのか?私達は、本当に、降格したと同時に、破産、選手を全て失う、そんな状況に満足しているのか?


競争は、今は、ある特権階級の者だけの利益になっている。残りのフットボール関係者は、特権階級の余り物を指を加えて待つだけの状況が続いている。フットボール協会の会議などで、私は、毎週毎週、彼らの自腹のポケットマネーを、フットボールに注ぎ込む、献身的なフットボールサポ、チェアマン、ディレクターに出会う。しかし、その甲斐も無く、私達は、一部の莫大な利益を吸い取る族によって生まれた、私達の行いとは、間逆の世間のイメージによって、プライドはズタズタにされた。事が、ますます、悪化する一方、私は、嘆きに近い物を感じている。


1992年までは、TVマネーと言うものは、微々たる物だった。そして、フットボールリーグに所属する、92チームに、平等に分配されていた。今日、プレミアリーグは、この90パーセントを独占している。後の7パーセントは、これより下のリーグ(チャンピオンシップ)に、残りの3パーセントが1部、2部のリーグに分配されるようになった。


全てが、不合理だ。そして、その最たる物が、パラシュートペイメントと言う制度の導入だった。今のフットボール界の制度の中で、2つの悪を挙げるなら、この馬鹿げた制度の導入を挙げないといけない。


今、もし、あるクラブがプレミアリーグから降格すると、彼らは、2年間もの間、保障金と題して、2千万ポンドのお金が与えられる。その一方、彼らがプレーすることになる、チャンピオンシップの他のライバルチームはどうなんだろうか?彼らは、せいぜい、一年間に、100万ポンドを与えられるだけだ。これが、果たして、このリーグの競争を意味するのだろうか?プレミアリーグから、降格したチームが一般的に再びプレミアリーグに返り咲くのに、そんなに問題はないだろう。そして、このリーグを単なる、プレミアリーグのお零れを保管して置く位の意味合いしかないようにしながら。


もちろん、この分配金が、平等に配られていたら、昨今、私達は、リーズ・ユナイテッドのあの悲惨な崩壊を見ることも無かった筈だ。彼らは、チャンピオンシップが抱える、金銭的な不均等に直面した、犠牲者だ。このリーグの財政は、危機的な状態に陥っている。解決策は、各リーグに対して、均等な分配金になる筈だ。


これは、まさに、百年以上も続いた、ある産業の破壊へと向かう手引書に違いない。この産業は、一見、当初考えていた以上に、大きな収益をあげているように感じるが、しかし、大きな期間で考えると、それは、まさに、危険な綱渡りなのである。


プレミアシップクラブの面々は、本来、私達の国民的スポーツの未来を守る、ある種の役目を背負う立場にいる筈だ。しかし、彼らは、莫大なTVマネーと共に、胡坐を掻いている、単なる道楽者でしかない。


おい、男達、お前達の出番だ:次の年、貴方方は、数億の余分なお金を手に入れることだろう。それを、この娯楽(フットボール)の為に使って見る気はないのか?この産業、そして、改革の為に?


上の方に停滞するお金の為に、このゲームのエンターテイメント性が薄れることを懸念している。FAカップの決勝を見ろ!何かを誰かがやらない限り、私達が恋に落ちた愛しの君は、癌(プレミアリーグ)に蝕まれて死んでしまうかもしれない。