仁義なき英国タブロイド伝説


仁義なき英国タブロイド伝説 (新潮新書)

仁義なき英国タブロイド伝説 (新潮新書)


軽く読める内容だが、奥は深いような気がする。ちょっと見方を変えると、NHKロンドン支局の特派員時代の筆者の、英国メディアの重要な位置を占めるタブロイドに思いを馳せる、回想本だと思ってしまう。御高いジャーナリズムなぞ、案外薄っぺらな幻想で、市民が楽しみにしているゴシップにあると言う原点を思い起こしてくれる。(笑)その意味で、ジャーナリズムの正義なぞ、薄い物かもしれない。ベッカムネタはこの本では、旬なので入れておくべき項目なのだが、少し尻切れトンボな感じがする。レベッカルイーズのその後は、リアルTV出演での豚のマスターベーション。母国オランダでのTVプレゼンターの失敗。売名行為タレントとして、英国のセレブ界に必死に残ろうと話題作りに試行錯誤である。(笑)その後、ベッカムネタは、タブロイドの購買マシーンとして、機能してるのか?と尋ねられると、少し考えてしまう。もう、一通りのネタが出尽くした感じがしないでもない。基本的に、サンは下品で嫌いだと言う管理者の見解はこの本で一層強くなった。(笑)しかし、現在のミラーの地味な姿勢とは裏腹、かつては栄光を楽しんでいたとは、知らなかった。フォークランド紛争への記事は、まさに、サンお得意な見出しだ。戦争の機関紙として、その重要な機能を果たすサンの伝統は、湾岸戦争イラク戦争でもそのスタンスは変わらないのだが、あんまり頭が良い人が読む物ではないと思うので、拒否反応を起こしてしまう。最近の高級紙タイムズの没落振りは、マードックメディアとして、仕方がない結果ではあるが、彼が、英国のメディアを牛耳っていることには変わりはない。共産主義ベッタリではないが、ある程度社会性がある、ミラーの方がタブロイドの王道を行ってるサンよりかは、好感が持てるだけである。

因みに、サン紙とリバプールサポとの犬猿の仲は、有名だが。そこでも、サンの下品さが如実に現れている。(笑)詳しくは、ヒルズボロの項目を参照。